矢野事務所
三田市で老舗の税理士事務所が、スタッフが増えて手狭になったことで、
移転することになり、新しい事務所の建設を、設計から施工までさせて頂きました。
二つの前面道路
敷地は幹線道路に接している部分と、その反対側には住宅地に続く道路にも接道しています。しかし、それらの道路には80cm程の高低差があり、いかに、その段差を解消するかが、設計の要であるように思われました。
プランニング初期
当初、建物の全体をスキップフロアーにして、住宅地側の1階部分を駐車場にするというプランを持って行きました。しかし、そのプランは、駐車場としての高さを確保するために、建物の正面にあたる幹線道路から、更に1.2m程階段を上がるエントランスなっていました。個人的には、とても気に入っていたプランでしたが、それを見た事務所のボスである矢野先生は、エントランスは絶対にフラットにして欲しいということでした。理由は、「お客様の中には、足の悪い方や、車椅子の方もおられます」と。
高さの違う、二つの打ち合わせ室
そもそも、建物を高基礎にすれば簡単に解決できる問題ではありました。
が、それがいかに施工性を悪くするかは、施工会社でもある当社が一番よくわかっていることでした。施工性の悪さが、いかにコストパフォーマンスを下げるかを・・・。しばらく考えていたある日、要望されていた二つの打ち合わせ室の一つを、土足のまま入る土間にして、エントランスとフラットになるアイデアを歯切りに、全体のプランと外観が一気に浮かんできました。
満を持して
車椅子の方なら、いくらバリアフリーにしたところで、普段は上履きの打ち合わせ室に入るのには遠慮するであろう。逆に、足の健康な方なら、数段の段差は、なんとも感じない。アプローチからエントランス、受付ホール、土足のまま入れる打ち合わせ室・・・それらを同じ仕上げの同一平面にして、ガラスで仕切る。ついでに、それらの中心にできる内部のような外部を植栽にすれば、「中にいるのに外のような感覚」はより、強くなのではないか。しかも、植栽は道路から見えすぎる事務所内部の様子を、程よく遮ってもくれます。
フィンのような独立壁の外観に
外観は構造的な意味もあり、独立壁が規則的に、あるいはランダムに配置されたような外観です。色モルタルのかき落としで仕上げられた土のような独立壁と、それらをつないでいくのは、ガラス、金属サイディングです。折り合う二つの面が、同一素材であるのは、階段室の天然石貼りの部分だけになっています。外壁の仕上げに法則性を持たせたことで、外観は程よく主張したロジカルな印象になっています。
施工チーム
基本設計/実施設計/意匠 | 株式会社ハンドワークス:手弐職家 佐藤 俊秀 |
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構造設計 | ネオテック・プランナー:小比賀 実 |
確認申請業務/打ち合わせ補佐 | 広瀬設計事務所:広瀬 和美 |
施工 | 株式会社ハンドワークス/広瀬木材店 |