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田無の家

田無の家

西東京市の専用住宅の建替えをしました。設計と施工をさせて頂きました。

敷地は田無(西東京市)の住宅地にある。40年以上前に、畑だった場所を住宅地に開発されており、その辺の敷地は大体、あまり、大きくはない。しかし、本件の場合、考えようによっては106.63㎡はあるわけで、建築の条件さえ厳しくなければ、現在の家に対する要件を満たすことは、決して難しくはない。

厳し建築条件

しかし、行政によって定められた条件はとても厳しいものである。
建ぺい率(敷地に対しての1Fの大きさ)40%。
容積率(敷地に対しての1F+2Fの大きさ)80%。

つまり、106.63×0.4=42.65㎡が1Fの大きさの最大であり、106.63×0.8=85.30㎡が1Fと2Fを足した床面積の最大ということになる。 これは坪数に換算すると25.8坪ということになる。

ちなみに、本件の建ぺい率は39.99%で容積率は79.99%になっている。出窓や、ベランダといった、面積には査定されない方法を最大限に利用しての数値なので、いかに条件との戦いであったかが見て取れる。

二つの斜線

また、斜線制限といって、立体的な建物の一部を制限するものがある。この家の場合、「北側斜線」と「道路斜線」という二つの斜線に触れるギリギリであったため、建物の配置や高さ、軒の出を入念に検証する必要があった。
写真は軒の出を検討したモデル

自由設計といっても、実際は、ほとんど不自由であることのほうが多い。いうなれば、白い大きなキャンパスを法規によって削り取られ、あらかじめデザインされた限られた形に色つけをする感覚にも近いかも知れない。・・・さすがに子供の塗り絵とまではいかないが・・・。

ところで、既に建っている築年数の多い家では、何故か、敷地いっぱいに建てている家が目立つ。建ぺい率、容積率が、甘かった時代があったのか、法規の解釈が緩かったのかは、分からない。しかし、建て替えをすれば、家のボリュームを縮小せざるを得ないシステムでは、なかなか街の革新は行われない。結果、新築思考の強い若夫婦が、街には少数派になり、現実、人口の割に子供の数が少ない印象を受ける。

新宿から快速に乗れば15分という便利な町で、何故、街が革新されないか?
なぜ、更に郊外の新しい住宅地が開発され続けるのか?

郊外の農地や里山を宅地にすることを自然破壊と大げさに解釈するならば、建築の法規が自然破壊に結びついているなんて、誰も思わないだろう。

製作秘話

間取りは嫁が考えた。隣地が近いので、1階がどうしても暗くなる。そこで、2階に生活の中心を持ってくるようにしている。 床面積はギリギリであったため、3階を設けることはできない。 しかし、床面積に入らないロフトを設け、通常よりも細かく入った梁の上に床を貼ることは可能である。さらにその上に間仕切り壁を設けることも・・・。 外壁はというと、モルタルをこすった後に漆喰を塗っている。 また、外断熱にすることで壁厚が20cm近くになる。

1階平面図

玄関を入ると、書斎の窓までが見通せる。隣地を考えると、窓はこの位置考えられなかった。

2階平面図

リビングの出窓は、テレビ台のつもりで設けた。そうすれば、テレビ台の厚みだけ、部屋を大きく使えると思ったからであるが、意図に反して本棚になっている。部屋の大きさよりも、東からの素敵な光を選択されたようです。

ラインナップ

設計/施工 株式会社ハンドワークス:手弐職家 佐藤 俊秀
協力 左官工事:小西左官店/小西秀憲、建具工事:マルニシ建具店/西嶋 賢太
仕様 外壁/ガルスパン(IG工業)、屋根/ガルバリウム鋼板立平葺き、サッシ/デュオPG(リクシル)